ギターモデル

Fender Nocaster(フェンダー・ノーキャスター)

Fender Custom Shop 2017 NAMM Limited 51 Nocatster NOS

Fender Nocasterとは

Fender Nocaster(フェンダー・ノーキャスター)は、フェンダー社が1951年に製造していたソリッドギター。ノーキャスターは通称であり、正式名称ではない。理由については後述。

Nocasterという名前の由来

現行のTelecaster(テレキャスター)は、発売当初(1950年)はBroadcaster(ブロードキャスター)というモデル名であった。1ピックアップ仕様のEsquier(エスクワイヤー)を2ピックアップ仕様にしたデラックス・モデルという位置づけで、当初は2機種とも同じモデル名で販売していた。しかし、販売戦略的に別のモデル名が好ましいということで、Broadcasterというモデル名に。

Broadcasterというモデル名は、当時フェンダー社とパートナーシップの関係にあったラジオ・テル社のセールスマンのドナルド・ドン・ランドール(後にFender Sales社の社長に就任)が名付けた。

Broadcasterは順調に広まっていったが、1951年2月に、ドン・ランドールのもとにグレッチ社からある1通の電報が届く。その内容は、グレッチ社が販売していたドラム「Broadkaster」に名前が似ており、商標権を侵害しているというものだった。スペルは、グレッチが「kaster」、フェンダーが「caster」なので全く同じではないが、このモデル名を使えなくなってしまった。

グレッチ社からのクレームを受け、ドン・ランドールはセールスマンたちにBroadcasterというモデル名の使用の中止と、新しいモデル名の案を募るが、その2日後、ドン・ランドールは自分で「Telecaster(テレキャスター)」というモデル名を思いつく。これが新モデル名として採用された。

Broadcasterのモデル名は使えなくなったが生産は中止せず、新モデル名のTelecasterのデカールが出来上がるまでの間は、ヘッドストックの「Broadcaster」というデカールを削り取り、「Fender」のロゴのみを残した状態で販売していた。ヘッドストックにモデル名が記されていないこの時期の機種は、後にコレクターの間で「Nocaster(ノーキャスター)」と呼ばれるようになった。ヘッドストックにモデル名のデカールが貼られていない「Nocaster」の時期は短く、1951年の初めに生産されたごく少数の個体しかない。

こちらはFender Custom Shop製のリイシュー版のNocaster。当時のモデルを再現し、ヘッドストックにはモデル名が印字されていない。
Fender Custom Shop 2017 NAMM Limited 51 Nocatster NOS

Broadcaster〜Nocaster〜Telecaster年表

  • 1950年4月
    1ピックアップ仕様のEsquire(エスクワイヤー)を販売開始
  • 1950年秋頃
    Esquireのデラックス・モデルとして、2ピックアップ仕様のBroadcaster(ブロードキャスター)を販売開始するも、グレッチ社から同社のドラム・Broadkasterというモデル名の商標権を侵害しているとクレームが来てしまう。スペルは1字違いであったが、Broadcasterというモデル名が使えなくなってしまった。
  • 1951年2月〜中期頃
    ドン・ランドールが考案した「Telecaster」が新しいモデル名に採用される。新モデルのデカールが出来るまでの間は、ヘッドストックからモデル名のBroadcasterのデカールを削り取り、Fenderのロゴだけ残した状態で販売。この時期の個体は後にコレクターの間で通称・Nocaster(ノーキャスター)と呼ばれるようになる。

Nocasterの試奏動画

1951年製の通称・Nocaster。ヘッドストックを見ると、モデル名が印字されていないのがわかる。

Fender Custom Shop製のNocasterリイシュー。

リイシュー
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執筆者:稲垣 健太(ケンタトニック)
ギター辞典コード辞典ボイトレ・音楽用語辞典の運営者。

音楽関係の仕事の経験、ギター製作の経験、音楽教室に通った実体験をもとに、音楽に役立つ情報を発信。

■音楽歴
中学2年生の時にギターを始める
高校1年生の時にドラムを始める
大学で軽音楽部に所属し、ボーカル、ギター、ベース、ドラムを演奏
39歳からボイトレに通い始める
42歳でギタークラフトを始める
└2023年4月にギタークラフトの専門学校・ESPギタークラフトアカデミー大阪校(GCA)に入学
└ギター製作やリペアの専門技術・専門知識を習得中

■音楽関連の仕事歴
[2006〜2009年]
大手CD・レコード販売店でロック、ジャズの仕入・販売を担当。
[2011年〜]
フリーランスのWebライター・Webディレクターとして開業。
大手音楽教室からの委託でボイトレサイトの運営、ボイトレ記事の執筆・編集に携わる。

■音楽教室の通い歴
[1995〜2000年まで]
某大手ギター教室に通う
[1997〜2002年まで]
某大手ドラム教室に通う
[2020年〜現在]
某大手音楽教室のボイトレ・話し方コースに通い中
ESPギタークラフトアカデミーにて月3回プロギタリストによる演奏授業を受講

■愛機
Stilblu #036 / #039 /#099
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Fender Custom Shop 1956 Stratocaster NOS
Gibson USA Exclusive Model / Les Paul Standard 60s Honey Lemon Burst

所有ギター一覧

■製作したギター
ギタークラフトアカデミー第1作目:
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ギタークラフトアカデミー第2作目:
Stand-Alone
ギタークラフトアカデミー第3作目:
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U2、Sigur Ros、THE 1975、Mr.Children、the band apart、くるり、SIAM SHADE、VAN HALEN

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