ギター用語

ブリッジカバー − エレクトリック・ギターのブリッジの上に装着するパーツ

ブリッジカバーとは

ブリッジカバーは、エレクトリック・ギターのブリッジ(ボディ側で弦を固定する部分)の上に装着するパーツ。エレキギターに必ず付属するわけではなく、一部のモデルに付属する。

Fender社のテレキャスター、ストラトキャスター、ジャズベース、プレシジョンベースのブリッジカバーが代表的。それ以外のメーカーやモデルにもブリッジカバーが付属する場合がある。

1950〜70年頃のテレキャスターやストラトキャスターには、デフォルトで付属していた。現行モデルには付属しないが、カスタムショップ製のモデルやリイシューモデルに付属する場合がある。

テレキャスター用のブリッジカバーの付け外しの仕方はこんな感じ。取り付けに工具は必要なく、ブリッジの上からカパッと簡単にはめ込む形になっている。

ストラトキャスター用のブリッジカバーの付け外し。トレモロアームがあっても装着可能。Fender純正のブリッジカバーであれば、Fenderのヴィンテージスタイルのトレモロユニットであればほとんど装着可能とのこと(購入時に要確認)。

ブリッジカバーの用途

ブリッジカバーは、主に演奏時に右手を乗せたり(右利き用ギターの場合)、ピックアップやブリッジを保護する役割を持つ。

1950〜70年当時のテレキャスターやストラトキャスターには、クロームメッキされたスチール製のブリッジカバーが工場出荷時に取り付けられていた。しかし、ブリッジカバーがあると、ブリッジミュート(※1)ができず、演奏の邪魔になることから外すプレイヤーが大半だった。

当時、外したブリッジカバーは灰皿として使うプレイヤーも多かったようで、テレキャスターやストラトキャスターのブリッジカバーは、「アッシュトレイ・ブリッジカバー」とも呼ばれている。これは「アッシュトレイ」=「灰皿」として使われていたのが由来であると考えられる。

※1:ブリッジミュート・・・ブリッジ付近に手を当てて弦の振動を抑えながら弾く奏法。パームミュートとも呼ばれる。

ブリッジカバーの歴史

Fender社のブリッジカバーは、テレキャスターが誕生する前に生産していたラップスティール・ギターに装着されていた。後に登場するテレキャスターなどのギターに装着されるブリッジカバーとは形状が異なるが、後続モデルはラップスティール・ギターの影響があったと言われる。

1940年代末にレオ・フェンダーが開発したソリッドボディのエレクトリック・ギターのプロトタイプにもブリッジカバーが装着されていた。写真の中央がプロトタイプのギターで、ブリッジカバーが装着されているのがわかる。

1951年製のNocaster(モデル名が決まる前のテレキャスター)。当初からブリッジカバーが付属していた。多くのプレイヤーはブリッジカバーを外して使っていたが、ヴィンテージのテレキャスターには、ボディにブリッジカバーの装着跡が残っている個体もある。

1950年にリリースされたプレシジョンベースには、裏面にゴム製ミュートが付いたブリッジカバーが標準装備されていた。しかし、当時はミュートを必要としないプレイヤーが大半で、ブリッジカバーは外されることが多かったようだ。

1954年にリリースされたストラトキャスターにもブリッジカバーが付属していた。こちらは1958年製のストラトキャスター。見本市や楽器店での展示の際は、見栄えを良くするために付けられていたそうだが、こちらも取り外して使うプレイヤーが多かったようだ。

レオ・フェンダーがブリッジカバーを採用していた理由は諸説あるが、いずれも定かではない。

  • サドルやネジなどのパーツを隠すための取り付けていた説
    (見栄えを良くするため)
  • サドルやネジなどのパーツが錆びないように取り付けていた説
  • リアピックアップのシールド効果(ノイズを減らす)のために取り付けていた説
  • 服の袖が弦に当たらないようにするうために取り付けていた説
  • レオ自身はギター弾けないためブリッジミュートの奏法を知らず、ミュートを避けるために取り付けていた説

ベースギターで使用するピックアップフェンスは別記事で詳しく解説。

ピックアップフェンス − ベースのピックアップを保護するパーツピックアップフェンスとは ピックアップフェンスは、ベース・ギターのピックアップを保護するためのパーツ。ピックアップカバーとも呼ばれる。...

ブリッジカバーの種類

テレキャスター用のブリッジカバー(Ashtray Bridge Cover)

ストラトキャスター用のブリッジカバー(Ashtray Bridge Cover)

プレシジョンベース用のブリッジカバー&ピックアップカバー(ピックアップフェンス)セット

ジャズベース用のブリッジカバー(Fロゴ入り)

ブリッジカバーを使うギタリスト / ベーシスト

ブリッジカバーを使うギタリストの代表と言えば、アルバート・コリンズ。

OKAMOTO’Sのハマ・オカモト氏は、自身のシグネイチャーモデルにブリッジカバーを採用している。

Hama Okamoto Precision Bass

Hama Okamoto Fender Katana Bass

ABOUT ME
執筆者:稲垣 健太(ケンタトニック)
ギター辞典コード辞典ボイトレ・音楽用語辞典の運営者。

音楽関係の仕事の経験、ギター製作の経験、音楽教室に通った実体験をもとに、音楽に役立つ情報を発信。

■音楽歴
中学2年生の時にギターを始める
大学で軽音楽部に所属し、ボーカル、ギター、ベース、ドラムを演奏
2023年4月にギタークラフトの専門学校・ESPギタークラフトアカデミー大阪校(GCA)に入学
ギター製作やリペアの専門技術・専門知識を習得中

■音楽関連の仕事歴
[2006〜2009年]
大手CD・レコード販売店でロック、ジャズの仕入・販売を担当。
[2011年〜]
フリーランスのWebライター・Webディレクターとして開業。
大手音楽教室からの委託でボイトレサイトの運営、ボイトレ記事の執筆・編集に携わる。

■音楽教室の通い歴
[1995〜2000年まで]
某大手ギター教室に通う
[1997〜2002年まで]
某大手ドラム教室に通う
[2021年〜現在]
某大手音楽教室のボイトレ・話し方コースに通い中
ESPギタークラフトアカデミーにて月3回プロギタリストによる演奏授業を受講

■愛機
Stilblu #036 / #039 /#099
g'7 special(g7-TLT Type 2S)
Nashguitars S-57
Tom Anderson(Drop Top Classic -Deep Tobacco Fade)
TMG Gatton Thinline
Fender Custom Shop 1956 Stratocaster NOS
Gibson USA Exclusive Model / Les Paul Standard 60s Honey Lemon Burst

所有ギター一覧

■製作したギター
ギタークラフトアカデミー第1作目:
ポリゴンライン
ギタークラフトアカデミー第2作目(製作中):
Stand -Alone


■好きなバンド
U2、Sigur Ros、THE 1975、Mr.Children、the band apart、くるり、SIAM SHADE、VAN HALEN

■ブログ ギタークラフト製作日記