ギター用語

一五一会 ‐ 指一本でコードが弾ける4弦の弦楽器、「一期一会」が由来

一五一会

一五一会とは

一五一会は、ギターのようなルックスの4弦の弦楽器。指一本で簡単にコードを押さえることができ、ギターに挫折した人でも気軽に演奏できる楽器となっている。BEGINヤイリギターが共同開発し、2003年に発売された日本の創作楽器。

一五一会の由来は「一期一会」

「一五一会」という名称は、四字熟語の「一期一会」をもじったもの。「一五一会」は低音弦から順に「あ弦」「い弦」「う弦」「え弦」と呼び、それぞれ開放弦(弦を押さえない状態で音を出す)で「あ弦」→「G(ソ)」、「い弦」→「D(レ)」、「う弦」→「G(ソ)」、「え弦」→「D(レ)」というチューニングをする。

「G(ソ)」と「D(レ)」という2つの音同士を「度数」で見ると、「1度」と「5度」の音程関係となる。「G」を「1度」とすると、「G」に対して「D」は「5度」の音程。

G(ソ):1度 → A(ラ):2度 → B(シ):3度 → C(ド):4度 → D(レ):5度

「一五一会」だと、「あ弦:G(ソ)」と「い弦:D(レ)」、「う弦:G(ソ)」と「え弦:D(レ)」がそれぞれ「一度」と「五度」の音程関係となっている。ちなみに「あ弦:G(ソ)」と「え弦:D(レ)」も「一度」と「五度」の音程関係。

弦楽器・一五一会のチューニング

弦同士が「一度」と「五度」の音程関係であることから、「一期(いちご)」の読みに合わせて「一五(いちご)」という名称になったそうだ。

※度数:
2つの音同士の間隔(=音程)を1度、2度、3度…というように数える単位
1度はどの音を基準に数えるかによって変わる

千葉県のラジオ局「BayFM」の2004年4月11日放送回にてBEGINのメンバーがゲスト出演した際に、ボーカルの比嘉栄昇(ひがえいしょう)さんが「一五一会」の由来を以下のように話している。

BEGIN:比嘉栄昇さん
この楽器自体が1度と5度から成り立っているんですけど、1度と5度というのをちょっとだけ説明させていただくと、ドレミファソラシドというのをドを1として、レは2と番号を振っていくと、ドミソ(1、3、5)というのが和音なんですよ。この3番目のミの音はもともと日本になかった音だと思うんですよ。とにかく沖縄の三線(さんしん)にはないんですよ。三線は1度と5度だけで成り立っているので、この3番目がなくなるとどうなるかというと、ものすごく簡単になるんですよ。いつも僕達は西洋から入ってきた第3番目の音を大事にしてたんだけど、もともとなかったからいいよと。その1度と5度で沖縄の人も日本の三味線の人も楽しいも悲しいも歌ってきたから、いいじゃないかということで、1度と5度で誰かに会えたらいいなということで『一五一会』にしたんですよ

引用:島の心・BEGINの一五一会 – BayFM

楽器の発売同年には、BEGINが一五一会を全面に使用してセルフカヴァーをしたアルバム『一五一会』が発売されている。

一五一会バージョンの『島人ぬ宝』

一五一会の特徴

  • 指一本でコードを演奏できる。
  • 楽譜は漢数字でコードを示す。

指一本でコードを演奏できる。

チューニングは4弦から順に「G,D,G,D」となっており、指一本のセーハでルート音と5度上の音、ギターにおけるパワーコードのような演奏が簡単にできる。楽器の初心者や、音楽の知識が全く無い人でも気軽に弾けることを意識して作られている。

動画のように指一本でコードを弾けるのが一五一会の最大の特徴

楽譜は漢数字でコードを示す

一五一会の楽譜は漢数字で表記されている。コードを知らなくても、この数字通りに押さえれば曲が演奏できるようになっている。

一五一会の指板にはポジションマークがないが、サイド側に漢数字が書かれている。漢数字=フレット数ではないことがわかる。

一五一会の種類

一五一会には、「ベーシック」「音来」「奏生」の3種類のモデルがある。

ベーシック

基本的な一五一会となるモデルの「ベーシック」。ベーシックという名前だが、3種類のモデルの中では最も高額な上位モデルとなる。

トップソリッドスプルース
バック/サイドソリッドマホガニー
ネックマホガニー
指板ローズウッド
ブリッジローズウッド
スケール630mm

音来(ニライ)

音来は価格を抑えた廉価版の一五一会。ボディの形状も少しベーシックから変化しているが、スケールとチューニングは同じ。「音来(ニライ)」という名前はBEGINが命名したもので、後述の「奏生(カナイ)」と合わせて「ニライカナイ」となり、これは沖縄地方に伝わる「理想郷」のこと。

トップソリッドスプルース
バック/サイドマホガニー
ネックマホガニー
指板ローズウッド
ブリッジローズウッド
スケール630mm

カラーバリエーションのブラウンサンバースト。

こちらはレッドサンバースト。

音来レッドサンバースト音来 RS

奏生(カナイ)

コンパクト化され、楕円形のボディとなった「奏生」。軽くて小さく扱いやすいのに加え、ナイロン弦を採用して初心者でも押さえやすくなっている。価格も最も低価格。また、奏生のみチューニングが「C,G,C,G」となっている。

トップソリッドスプルースorシダー
バック/サイドリンデン(シナ)
ネックマホガニー
指板ローズウッド
ブリッジニャトー
スケール475mm

ヘッドにはBEGINの島袋がデザインした亀のロゴ。よく見ると甲羅に「奏生」の文字が入っている。

奏生

ヘッド裏の「かかと」。ここを支えにして横置きして演奏ができる。

奏生

カラーバリエーションのブラウンサンバースト。

こちらはレッドサンバースト。

ABOUT ME
執筆者:タケ
ギター辞典コード辞典ボイトレ・音楽用語辞典の運営者。

ギター歴23年。

愛機:Gibson Les Paul Custom、Black Cloud Aging Label #022、Stilblu #100、Legator Ninja N7FX

日々、ギターのお勉強中。