ギター用語

サムピック ‐ メリット・デメリットやその種類

サムピックとは

サムピック(thumb pick)は、親指に装着するピックのこと。主にフィンガーピッキングのスタイルで使用し、親指によるピック弾きと、残りの指による指弾きを両立するためにアイテム。

サムピックのメリット・デメリット

メリット

  • 低音をしっかり出すことができる
  • 単音弾きができる
  • 単音、アルペジオ、ストロークの切り替えがスムーズ
  • 低音のミュートがしやすい
  • 爪を伸ばさなくていい

低音をしっかり出すことができる

フィンガーピッキングのスタイルでは、親指は主に低音弦のベース音を弾くことになる。指弾きと比較してピックで弾くことによって、低音の音量を大きく、ハッキリとしたサウンドで奏でることができる。

井草聖二さんの演奏。前半がサムピック使用、後半が指弾きでサウンドの違いがわかる。

単音弾きができる

サムピックを装着した親指では、低音弦だけでなく高音弦においてもしっかりと音を出すことができる。指弾きでは難しいような単音の速弾きなども可能となる。

奏法の切り替えがスムーズ

通常のピックを使って弾いた場合、ピック弾きと指弾きを切り替える際に持っているピックを指の間に挟んだり、口に加えたりする必要がある。サムピックを使えばピックを持ち替える必要がなく、単音、アルペジオ、ストロークといった奏法の切り替えをスムーズに行うことができる。

繊細なアルペジオも激しいストロークも奏でる、トミー・エマニュエルの演奏。

デメリット

  • 細かいニュアンスが表現しづらい
  • 指弾きとのバランスが難しい
  • ストロークにはあまり向いていない

細かいニュアンスが表現しづらい

サムピックはハッキリと大きな音が出しやすい反面、指弾きと比べて強弱など細かいニュアンスの表現がしづらい。繊細な表現を重視する場合には、爪や指頭での演奏の方が向いている。

指弾きとのバランスが難しい

親指によるハッキリとした低音に対して、他の指で弾いた音が相対的に弱くなってしまう。高音の音量が小さくなりがちなので、親指でのピッキングを少し抑えて弾くなどの工夫が必要となる。

ストロークにはあまり向いていない

通常のピックと比較すると、サムピックは指先で細かい角度の調整ができない分、音の強弱が付けにくく、ストロークの際に音が硬い印象になってしまう。

サムピックの種類・選び方

通常のピック同様、サムピックも様々なメーカーから多種多様な商品が発売されている。形状や材質はもちろん、自分の指にフィットするかどうかも重要なポイントとなる。

材質

プラスチック

最も多く、一般的なのがプラスチック製のサムピック。しなりやすく、比較的指弾きに近い感覚で弾くことができる。とりあえず初めてならプラスチック製を選ぶのが無難。ただし、プラスチックと一口に言っても「セルロイド」や「ウルテム」など様々で、それぞれにさわり心地や弾き心地も変わってくる。

Jim Dunlopのスタンダード中のスタンダートと言えるサムピック。迷ったらまずこれを試して、これを基準に比較してみると良い。

Ibanezのウルテム製サムピック。「ウルテム」もプラスチックの一種。

鼈甲(べっこう)

べっ甲のピックはナチュラルであたたかいサウンドが魅力的。また、細かいニュアンスもしっかり表現してくれる。しかし、輸入規制があるため、高価になってしまう。

金属製

金属製のメタルピックは、独特のアタックが特徴的。低音部をよりハッキリと際立たせたい場合に向いている。一方で全くしなりはないため、細かいニュアンスのコントロールは難しい。

形状

スタンダードなタイプ以外に、工夫をされた形状のサムピックがいくつも存在する。演奏やフィット感に違和感を覚えたら、他のタイプも試してみると良い。

角度のついたタイプ

Jim Dunlopの「Zookies」は、先端部分に角度が付いたタイプ。このほんの少しの角度がついていることによって、より自然なフォームでピッキングができる。

スピード・タイプ

Fred Kellyの「Speed Pick」というサムピック。他の形状と比べて立ち上がりが早く、速弾きに適している。

ティアドロップ・タイプ

通常のティアドロップ・ピックと同様のものが付いたタイプのサムピック。通常のピックから持ち替えた時の違和感が少なく、ストロークにも向いている。

Black Mountain

少し変わり種なのが「Black Mountain」というサムピック。スプリングがあることによって、どんな人でも指にフィットしやすくなっており、長時間の演奏でも指への負担が少ない。

好きなピックをサムピック化するP-Velt

どうしても気に入ったサムピックが見つからないという場合、普段使っている通常のピックをサムピック化できる「P-Velt」という商品を使うという方法もある。P-Veltはピックの滑り止め用のアイテムだが、親指に装着するタイプなのでサムピックとして使うことができる。

P‐Velt P‐Velt
ABOUT ME
執筆者:タケ
ギター辞典コード辞典ボイトレ・音楽用語辞典の運営者。

ギター歴23年。

愛機:Gibson Les Paul Custom、Black Cloud Aging Label #022、Stilblu #100、Legator Ninja N7FX

日々、ギターのお勉強中。