ギター用語

ビザールギターとは ‐ 変わった形状のギター

Airline MAP DLX Black
画像:Amazon

ビザールギターとは?

ビザールギターは、「変わった形状のギター」を意味する。「Bizzare(ビザール)」は、「奇妙な」という意味の英単語。その言葉の通り、「奇妙な形のギター」をビザールギターと呼ぶ。ビザールギターは日本独自の呼び方であるため、海外では通用しない。

ビザールギターという呼称は、ギター・マガジンの元編集長・野口広之氏が名付け親。1993年出版の『60s BIZARRE GUITARS』(リットーミュージック)にて、野口氏が1960年代の変わった形状のギターを「ビザール・ギター」と呼称し特集を組んだのが始まり。

BIZARRE GUITARS 60年代ビザール・ギターズ
60s BIZARRE GUITARS

『ギター・マガジン 2016年9月号』でも野口氏が監修したビザールギター特集が掲載されている。Kindle Unlimited会員なら無料で読むことができる。

ビザールギターの定義

ビザールギターの定義は難しいが、一般的なギターの形状として認識されているストラトキャスター、テレキャスター、ギブソン・レスポールなどのスタンダードなデザインのギターと異なる「変わった形状のギター」を指す。ただし、ギブソン・エクスプローラーやフライングVなどの「変形ギター」とは区別されることが多い。

ギターとしての弾きやすさを無視した独特なボディの形状をしたタイプ、やたらたくさんボタンやスイッチが付いている個体などがビザールギターと呼ばれる。

もうひとつ、ビザールギターは製造年も関係している。現行品のビザールギターもあるが、主に、1960〜70年代に製造されていた独特なデザインのギターをビザールギターと呼ぶ

ビザールギターの歴史

ビザールギターは1960年代に作られたものが多く、日本のメーカーが製作したギターの中にも個性的な形状のモデルが多数ある。TEISCO(テスコ)やGuyatone(グヤトーン)が当時に製造していたビザールギターは海外でも人気が高い。

1960年代にビザールギターが多く生まれたのには、当時のギター事情が関係している

当時、日本ではフェンダーやギブソンの海外製のギターは高価で、気軽に買えるものではなかった。そこで、日本のギターメーカーはストラトやテレキャス、レスポールなどのコピーモデルを製造する一方で、独特の形状のオリジナルギターを開発するようになった。

当時は「安くて変なギター」と呼ばれていたが、『60s BIZARRE GUITARS』で野口氏がビザールギターと称してその魅力を伝えたことで再注目されるようになる。

のちにビザールギターと呼ばれるモデルのギターは安価で大量に生産されていたため、現在でも安くで入手できる個体は多い。

1960〜70年代に製造されたビザールギターは、ジャパンヴィンテージとも呼ばれる。ジャパンビンテージについては別記事で詳しく紹介。

ジャパンヴィンテージとは ‐ 日本のギターメーカーが1970~80年代に販売したギタージャパンヴィンテージとは? ジャパンヴィンテージは、主に日本のギターメーカーが1970~80年代に販売したギターを指す。それよりも古い...

代表的なビザールギター

TEISCO Spectrum 5

1960年代のエレキブームで人気を博し、今なお多くのギタリストを魅了してやまないビザールギターの代表格。リイシューが発売されるほど人気のモデル。

VOX Mark Ⅲ」

涙のしずくのような形をした「ティアドロップ型」と呼ばれるビザールギター。ローリング・ストーンズの元リーダー、ブライアン・ジョーンズが使用していたギターとして有名。こちらはリイシュー

Airline Angular Shape

AirlineはアメリカのVALCO社が1960年代に製造していたギター。White Stripesのジャック・ホワイトが愛用したことで再注目された。

NATIONAL GLENWOOD 95

『ギター・マガジン 2016年9月号』の表紙にもなっているNATIONALの「GLENWOOD 95」。NATIONALはアメリカのリゾネーター・ギターのメーカーだが、本機のようなビザールギターを製造していた時期があった。

Wurlitzer Gemini

アメリカの楽器メーカー・Wurlitzer(ウーリッツァー)が1960年代に販売したモデル「Gemini」。この近未来的なデザインは、数あるビザールギターの中でも特に印象的。

YAMAHA SG-2C

バナナのような形状から「FLYING BANANA(フライング・バナナ)」と呼ばれるYAMAHAのビザールギター。イエロー以外に、ブルー、レッドなどのカラーバリエーションあり。

ABOUT ME
執筆者:稲垣 健太(ケンタトニック)
ギター辞典コード辞典ボイトレ・音楽用語辞典の運営者。

音楽関係の仕事の経験、ギター製作の経験、音楽教室に通った実体験をもとに、音楽に役立つ情報を発信。

■音楽歴
中学2年生の時にギターを始める
高校1年生の時にドラムを始める
大学で軽音楽部に所属し、ボーカル、ギター、ベース、ドラムを演奏
39歳からボイトレに通い始める
42歳でギタークラフトを始める
└2023年4月にギタークラフトの専門学校・ESPギタークラフトアカデミー大阪校(GCA)に入学
└ギター製作やリペアの専門技術・専門知識を習得中

■音楽関連の仕事歴
[2006〜2009年]
大手CD・レコード販売店でロック、ジャズの仕入・販売を担当。
[2011年〜]
フリーランスのWebライター・Webディレクターとして開業。
大手音楽教室からの委託でボイトレサイトの運営、ボイトレ記事の執筆・編集に携わる。

■音楽教室の通い歴
[1995〜2000年まで]
某大手ギター教室に通う
[1997〜2002年まで]
某大手ドラム教室に通う
[2020年〜現在]
某大手音楽教室のボイトレ・話し方コースに通い中
ESPギタークラフトアカデミーにて月3回プロギタリストによる演奏授業を受講

■愛機
Stilblu #036 / #039 /#099
g'7 special(g7-TLT Type 2S)
Nashguitars S-57
Tom Anderson(Drop Top Classic -Deep Tobacco Fade)
TMG Gatton Thinline
Fender Custom Shop 1956 Stratocaster NOS
Gibson USA Exclusive Model / Les Paul Standard 60s Honey Lemon Burst

所有ギター一覧

■製作したギター
ギタークラフトアカデミー第1作目:
ポリゴンライン
ギタークラフトアカデミー第2作目(製作中):
Stand -Alone


■好きなバンド
U2、Sigur Ros、THE 1975、Mr.Children、the band apart、くるり、SIAM SHADE、VAN HALEN

■ブログ
ギタークラフト製作日記
運営者情報