ギターの基礎・知識

ギターの湿度管理 − 最適な湿度とおすすめ湿度調整剤

ギターの湿度管理

ギターの温度管理について

木材を主に使って作られているギターは、湿度に対しては非常にデリケートな楽器。特に四季の変化のある日本では、一年を通してしっかり湿度管理をして保管する必要があります。対策を怠るとどうなってしまうのか、どういった対策が必要なのかを見ていきましょう。

季節、湿度の影響

木材は常に呼吸をしており、空気中の水分を吸ったり吐いたりを繰り返しています。そのため、空気中の水分量によって木材の状態も変化する。この変化がギターにどういった影響を及ぼすのでしょうか?

 湿度が高すぎるとどうなる?

6月の梅雨から9月頃までの夏の時期には、非常に湿度が高くなる。空気中の水分が多いと木材が吸い込む水分も多くなり、水分が多くなると木は膨張して大きく重くなってしまいます。膨張すること自体による不具合はもちろん、木材の種類による膨張率の違いや、同じ木材でも部分ごとの違いもあるため、様々なズレが起こってしまいます。

湿度が高すぎると起こる主な不具合には次のようなものがある。

湿度が高いと起こる不具合
  • 逆反りしやすくなる
  • こもったような音になる
  • 金属パーツが錆びる

逆反りしやすくなる

一般的にネックに使われる木材は指板に使われる木材と比較して密度が低く、湿度による変化が起こりやすい。湿度が高い場合、ネック材の方が大きく膨張し、逆反りする傾向にある。逆反りすると弦高が低くなり、ビビリが出やすくなってしまう。

こもったような音になる

木材に含まれる水分量が多くなるとその分重たくなり、振動しにくくなってしまう。音抜けが悪くなり、こもったような音になってしまいがち。

金属パーツが錆びる

木材とは関係ないが、金属パーツのサビも湿度が高くなると起こりやすい。一度サビてしまうと元の状態に戻すのが難しい場合も多いので、美しい状態を保ちたいなら注意が必要。

 湿度が低すぎるとどうなる

冬になると湿度が低くなり、水分が少なくなると木材は縮んでしまう。窓を締め切ってエアコンで暖房しているとさらに乾燥しやすくなるので特に注意が必要となる。

湿度が低いと起こる不具合
  • 順反りしやすくなる
  • ネック痩せしてしまう
  • 割れる

順反りしやすくなる

湿度が高い場合は逆反りしやすくなるが、湿度が低いと「順反り」がおきやすくなる。順反りすると弦とフレットの距離が遠くなって弦高が高くなり、弾きづらい状態になってしまう。

ネック痩せしてしまう

乾燥によってネック材や指板材が収縮してしまい、フレットの端が指板から飛び出してしまうことを「ネック痩せ」や「フレットバリ」と呼ぶ。演奏中に手が引っかかって怪我をすることもあるので、危険な状態。

割れる

過度な乾燥状態になると、最悪木材が割れてしまうことも。一度割れてしまうと修理をしても完全に元の状態に戻すことはできないので、特に注意が必要となる。

まとめると、湿度が高すぎても低すぎても良くないことがわかります。また、木材が膨張する場合も収縮する場合も、そこに塗られた塗料は湿度によって膨張・収縮しないため、塗装にヒビが入る可能性があるため注意が必要となります。

ギターに適切な湿度は50%前後

ギターを保管するのに最適な湿度は、結論から言えば50%前後だと言われています。湿度が60%を超えていたり、40%を切るような環境だと前述のような不具合が徐々に出やすくなってくるため、なんらかの対策をした方が良いでしょう。

  • 65%超
    危険な湿度の高さ
    木材にとっては水分が過多で膨張が起こる。金属パーツも錆びてしまうので、除湿が必要。
  • 55〜65%
    注意したい湿度の高さ
    水分多めだが、まだ許容範囲内。ネックの逆反りには注意したい。
  • 45〜55%
    最適な湿度
    ギターにとってはこのくらいの湿度がもっとも最適な環境とされている。湿度が原因でネックが反る心配は少なく、サウンド面や演奏性などにおいてもギターの持つ性能を遺憾なく発揮することができる。
  • 35〜45%
    注意したい湿度の低さ
    少し水分が足りていない状態。順反りの可能性があるので注意。
  • 30%以下
    危険な湿度の低さ
    水分が少なすぎる状態。 木部の割れなどの危険性があるので、過湿が必要。

ギターの湿度管理の方法

まず湿度計で正しい湿度を知る

湿度管理が重要なのはわかったけれど、実際の湿度がどのくらいなのかわからなければ対策もできません。天気予報などで見られる湿度はあくまで外の数値なので、必要なのはギターを保管している部屋・場所の正しい湿度湿度計を用意して、どのように湿度が変化しているのかをしっかり把握しましょう。

部屋の湿度を知るには、卓上の湿度計、特に湿度だけでなく温度も表示してくれる物がオススメ。ギタースタンドやハンガーを設置している場所の近くに置いて湿度を計測しよう。

ケースに入れて保管する場合は、ケース内の湿度を測らないと意味がありません。ギター・アクセサリーブランドのピックボーイから発売されている湿度計は、マジックテープが付いているので、ケース内に装着して使用できて便利。

冬場(湿度が低い時)の対策

湿度の低い冬の乾燥対策には、部屋を過湿して空気中の水分量を増やす必要があります。

加湿器を使う

ギターをスタンドやハンガーで部屋に置いているのなら、加湿器を使うのが確実で効果的。ついでに健康にも良いので持っていて損はないですね。ただし、加湿のしすぎには注意が必要。一日中つけっぱなしにしておくのではなく、湿度計をチェックして適切な湿度をキープするようにしましょう。

加湿器にはスチーム式、気化式、超音波式等といった種類がありますが、楽器のある部屋に使う場合は、超音波式は避けた方が良いでしょう。

超音波式の加湿器は、水道水に含まれるカルキやミネラル成分も一緒に蒸気で噴霧する。この蒸気が乾燥しミネラル成分が固まると白い粉となって楽器に付着してしまう。この白い粉は、落とせないわけではないものの、しっかりこすらないと落ちない場合が多いため、デリケートな楽器に付着すると非常に面倒なこととなってしまいます。このような理由から、超音波式の加湿器は避けるのが無難と言えます。

オススメなのは水を沸騰させて水蒸気を出すスチーム式。電気代が高くなりがちな方式ですが、沸騰させることで雑菌を無くすことができるので、手入れの手間も少なく人体にも優しい方式です。

アコースティックギター専用加湿器

アコースティックギターの場合、サウンドホールに装着して内部から過湿を行えるアイテムも発売されている。ギターをピンポイントで過湿することができ、部屋用の加湿器と比べると安価で手に入る。

ダダリオの『Acoustic Guitar Humidifier』は、水を含ませたスポンジを弦に引っ掛けて吊るすギター用加湿器。

夏場(湿度が高い時)の対策

湿度が高い梅雨や夏には、除湿をして湿度を下げてあげる必要があります。

除湿機、エアコンの除湿機能を使う

湿度を下げるには、除湿機を使うのが効果的。また、エアコンの除湿機能でも湿度を下げることはできます。除湿をする場合も、やはり湿度の下がり過ぎには注意して、湿度計を見ながら適切な湿度をキープできるように調節しましょう。

夏は除湿、冬は加湿をするということであれば、除湿機能と加湿機能を兼ね備えた空気清浄機を買ってしまうという選択肢もあり。多少価格は高くなりますが、両方買い揃えることを考えれば、置き場所なども含めてむしろコスパは良いとも言えるのではないでしょうか。

オイルやワックスを使う

指板の保湿ということであれば、レモンオイルやオレンジオイル、あるいはワックスを使うことである程度乾燥から木材を守ることができる。

レモンオイルやオレンジオイルについては下記の記事で紹介。

レモンオイル
レモンオイルとは ‐ 使い方や注意点、おすすめ商品などレモンオイルとは レモンオイルは、ギターやベースのメンテナンスアイテム。指板に塗布することで、汚れの除去や保湿をすることができる。 ...

最近人気となっているねこだまり工房の蜜蝋ワックスでも、指板の保湿ケアができる。

ケースに入れて保管する場合は湿度調整剤

加湿器や除湿機をすぐに用意できない場合、あるいは長期間ギターを弾かない場合にはケースに入れて保管するのがおすすめ。ハードケースはもちろん、ソフトケースであっても、ケースに入れておくだけである程度の乾燥や湿気から楽器を守ることができます。

ギターケース

実際に長期間保管するのであれば、ハードケースでの保管が望ましく、ただケースに入れておくだけよりも「湿度調整剤」を使ってしっかりと湿度管理をしてあげることで、楽器の状態をより良く保つことができます。

湿度調整剤は、ケースの中に入れておくだけで湿度をコントロールすることができる便利グッズ。湿度が高い時には吸湿して湿度を下げ、湿度が低い時には水分を吐き出して湿度を上げ、ケース内の湿度を一定に保ってくれるという効果を持っています。

おすすめ湿度調整剤

ギターメーカーでもあるフェルナンデスから発売されている『Dr.Dry(ドクタードライ)』は定番の湿度調整剤。安価ながら効果は十分で、防臭効果も期待できます。

こちらもギターメーカーのGrecoから発売されている『DRY CREW(ドライクルー)』。フェルナンデスのDr.Dryと機能的には同じで価格は少し高めですが、Dr.Dryが40gなのに対し、こちらは60gと量が多め。効果が物足りないと感じたらこちらを試してみては。

DRY CREWは、レモンやオレンジ、ココナッツバニラ、ブルーベリー、ローズ、森、プルメリアといった香り付きの「アロマシリーズ」も発売されている。ハードケース独特の臭いが気になるという方にオススメ。

湿度調整剤の入れ方、どこに入れる?

湿度調整剤の使い方は、ギターケースにポンと入れるだけ。どこに入れても効果は変わらないので、ギターを入れて隙間のあるところに入れておくと良いでしょう。

湿度調整剤を入れたら、ケースはしっかり密閉することが大切。密閉しておかないと効果を発揮できません。練習時にギターを取り出した場合も、ケースは閉じておきましょう。

湿度調整剤はどのくらいもつのか?

湿度調整剤は、商品にもよりますが多くの物が約半年間〜1年間使えるとされています。使える期間は使用している環境にもよるので、湿度計をチェックして、実際の効果が薄れてきたら新しい物に交換すると良いでしょう。

乾燥剤と湿度調整剤の違い

ダイソーなどの100均でも購入できる「乾燥剤(シリカゲル)」は、吸湿ができるので梅雨の時期などにケースに入れて湿気を吸い取ることは可能です。ただし、乾燥剤はあくまで湿気を吸い取ることしかできず、ずっと入れておくと逆に水分を吸いすぎてケース内が乾燥してしまいます。とりあえずの急場しのぎには使えますが、常時使用することはできません。

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ABOUT ME
執筆者:タケ
ギターコンシェルジュ運営者。
愛機:Stilblu #100、Black Cloud Aging Label #022、Gibson Les Paul Custom 
日々、ギターのお勉強中。