ギタークラフト

【4作目】ボディ、ヘッドの製図:ギタークラフト学校日誌(183)

ストラトキャスタータイプのボディの製図

2年生の授業がスタート。
2年生になると、上級生(3年生、4年生)と一緒の教室で作業をします。

2年生の1作目(通算4作目)は、ボルトオンネックのギターを作ります。
ボルトオンは、セットネックやスルーネックと比べて作業効率が良いと言われるため、作るのが簡単そうというイメージがありますが、ネックエンドとネックポケットの加工精度が求められるため難しいとのことです。

まずは製図からやっていきます。
今回はストラトタイプのボルトオンを作ります。

スペック

  • ストラトタイプ(外周は約98%小さく)
  • 3シングルピックアップ
  • シンクロナイズドトレモロ(2スタッドトレモロ – 510T-FE1)
  • 1ボリューム、1トーン
  • 22フレット
  • 指板はツバだし(ヒサシあり)
  • ホイールナットを使用(ESP TRUSS ROD WHEEL NUT)
  • 12フレットの厚みは25mm(1フレットで23mm)
  • ゴールドパーツを使用(ペグ、ブリッジ、ジャックプレート)
  • ボディはアルダー
  • ネック材はメイプル
  • 指板材はホンジュラスロース
ストラトキャスタータイプのボディの製図

特に意味はないけど色調を反転させたバージョン。
ストラトキャスタータイプのボディの製図

ネックエンド周り。
ツバだし&ホイールナットを取り付けるので、細かく書き込んでいます。

ブリッジ周り。
2スタッドのシンクロトレモロは、6点支持タイプと寸法が異なります。
6点支持タイプと同じ寸法で設計するとザグリが見えてしまったりするので、2スタッド用に寸法を取ります。
2つのアンカーの位置が大事なので、内容は公開できませんが、学校で配布されたプリントを元に設計しました。
6点支持は最低でも3箇所は摩擦抵抗がかかりますが、2点支持は摩擦抵抗が1箇所(ボディトップに当たる箇所)のみなので、アーミング時のチューニングが安定しやすいというメリットがあります。
ギターボディのブリッジ周りの図面

ネックエンド周りの側面図。
ツバだし(ヒサシ)があるので、ネックエンドから9mm飛び出していて、ボディトップ面との間に3mmの隙間があります。
ネックエンド周りの厚みは26mm(ネック材20mm+指板材6mm)取ります。
12フレットが25mmあるので、ヒール周りの傾斜はかなり緩めです。
ギターボディのネックエンド周りの側面図

コントロール部分の正面図。
ストラトは、コントロールとザグリが結構シビアです。
レバースイッチは配線材の幅も考慮し、ザグリ外周から2mm離した位置に設置します。
リアピックアップ用のトーンは内側に配線しますし、実寸はもう少し小さいので、ザグリ外周ギリギリの位置でも問題ないとのことです。
ストラトキャスタータイプのギターボディのコントロール部分の製図

ピックガードの形状について。
正面から見て、フロントピックアップの左側の部分とピックガードの外周が結構密接しています。
実際にこれくらい密接しているので、これでOKとのことです。
(加工時に寸法を間違えなければ)
ストラトキャスタータイプのギターボディのピックガード周りの図面

ギターヘッドの正面図と側面図。
ヘッドの形状は、2作目でオリジナルで設計したリバースヘッドをノンリバースにしました。
ギターヘッドの正面図と側面図

0フレットの厚みは、26mm(ネック材20mm+指板材6mm)取ります。
1フレットの厚みが指板込みで23mmなので、ネックエンド側にかけてわずかにカーブさせます。
ヘッド厚は14mmなので、0フレット周りからヘッド側にかけては、なだらかにカーブさせています。
ギターヘッドのナット周りの側面図

難しかったのはペグポストの位置。
各弦がペグポストに向けて真っ直ぐ、かつ各ペグポスト間が均等になるように計算して製図しました。
弦の太さ(今回は10-46を使用)も考慮した設計になっています。

  1. 0フレットから6弦ペグポストの位置を決める
  2. └ 今回は40mm

  3. ヘッド外周から6弦ペグポストの距離を決める
  4. └ 今回は13mm(推奨は11.5mmだが、ヘッド外周に合わせて長めに設計)

  5. 6弦ペグポストから1弦ペグポストまで120mmの間隔を取る
  6. ヘッド外周から1弦ペグポストの距離を割り出す

    └ 6弦と同じく13mm

  7. 各弦の間隔を24mm取る
  8. └ 合計すると120mmになる

  9. ストリングポストの大きさΦ5を罫書き
  10. ペグポスト外周の大きさΦ8.7を罫書き
  11. センターラインから各ペグポストまでの距離、0フレットから各ペグポストまでの距離を記載
  12. ギターのヘッド外周とペグの図面

    今日はここまで。
    製図ができたので、ネック材の加工をしていきます。

    ABOUT ME
    執筆者:稲垣 健太(ケンタトニック)
    ギター辞典コード辞典ボイトレ・音楽用語辞典の運営者。

    音楽関係の仕事の経験、ギター製作の経験、音楽教室に通った実体験をもとに、音楽に役立つ情報を発信。

    ■音楽歴
    中学2年生の時にギターを始める
    高校1年生の時にドラムを始める
    大学で軽音楽部に所属し、ボーカル、ギター、ベース、ドラムを演奏
    39歳からボイトレに通い始める
    42歳でギタークラフトを始める
    └2023年4月にギタークラフトの専門学校・ESPギタークラフトアカデミー大阪校(GCA)に入学
    └ギター製作やリペアの専門技術・専門知識を習得中

    ■音楽関連の仕事歴
    [2006〜2009年]
    大手CD・レコード販売店でロック、ジャズの仕入・販売を担当。
    [2011年〜]
    フリーランスのWebライター・Webディレクターとして開業。
    大手音楽教室からの委託でボイトレサイトの運営、ボイトレ記事の執筆・編集に携わる。

    ■音楽教室の通い歴
    [1995〜2000年まで]
    某大手ギター教室に通う
    [1997〜2002年まで]
    某大手ドラム教室に通う
    [2020年〜現在]
    某大手音楽教室のボイトレ・話し方コースに通い中
    ESPギタークラフトアカデミーにて月3回プロギタリストによる演奏授業を受講

    ■愛機
    Stilblu #036 / #039 /#099
    g'7 special(g7-TLT Type 2S)
    Nashguitars S-57
    Tom Anderson(Drop Top Classic -Deep Tobacco Fade)
    TMG Gatton Thinline
    Fender Custom Shop 1956 Stratocaster NOS
    Gibson USA Exclusive Model / Les Paul Standard 60s Honey Lemon Burst

    所有ギター一覧

    ■製作したギター
    ギタークラフトアカデミー第1作目:
    ポリゴンライン
    ギタークラフトアカデミー第2作目:
    Stand-Alone
    ギタークラフトアカデミー第3作目:
    Thin-Marauder


    ■好きなバンド
    U2、Sigur Ros、THE 1975、Mr.Children、the band apart、くるり、SIAM SHADE、VAN HALEN

    ■ブログ
    ギタークラフト製作日記
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