ギターモデル

Fender The STRAT(ザ・ストラト)

The-STRAT

The Strat

The STRAT(ザ・ストラト)は、フェンダー社が1980〜1983年に製造していたソリッドギター。The STRATはストラトキャスタータイプのモデルであるが、Storatocasterとは別のモデル。「ストラト」はストラトキャスターの略称でもあるためややこしいが、The STRATは個別のモデル名。

「STRAT」は、すべてアルファベットの大文字で表記するのが正式。ヘッドストックには「STRAT」のモデル名が印字されている。

The STRATが誕生した経緯

The STRATは、当時、フェンダーの研究開発責任者だったグレッグ・ウィルソンによって設計されたモデル。オリジナル仕様のストラトキャスターに還るというコンセプトで開発された。

ストラトキャスターは、1965年後期からヘッドストックがラージヘッドに、1971年後期からネックジョイントが3点止めのマイクロティルト機構になるなど、従来のモデルとは仕様が変わっていた。弾丸のような形をしたブレット・トラスロッドも1971年後期から導入。

1980年に開発されたThe STRATでは、ネックジョイントを4点止めに戻し、ヘッドはスモールヘッド(ヴィンテージのモデルとは形状が異なる)に変更。トラスロッドもブレット型を廃止。原点回帰とも言えるモデルであった。

ストラトキャスターの上位機種として販売されたモデルで、ゴールドパーツであったため見た目に高級感がある。しかし、製作コストが高く、1983年に製造中止となった。

Smith Strat(スミス・ストラト)は別モデル

CBS時代のフェンダー副社長ダン・スミスが開発を主導したストラトキャスター(1981〜1983年製造)は、通称「Smith Strat(スミス・ストラト)」と呼ばれている。The STRATと製造時期が重なっており、通称名にStratを含んでいるが、これは別のモデル。そもそも「スミス・ストラト」は正式名称ではなく、ヘッドストックには「STRATOCASTER」と印字されている。

The STRATの特徴

  • ヘッドストック
    スモールヘッドを採用(1965年以前のスモールヘッドとは形状が異なる)。ボディとヘッドストックのカラーを合わせたマッチングヘッドであるのもThe STRATの特徴(マッチングヘッドでないカラーもある)。
  • ネックジョイント
    四本のボルトでネックとボディを接合する4点止め方式。
  • ネック
    1ピースのメイプルネック、またメイプルネックのローズウッド指板のいずれかを選択可能であった。ネックシェイプは「Uシェイプ」「Dシェイプ」「Cシェイプ」の3タイプ。
  • トラスロッド
    ヘッド側から調整するタイプから、ヘッドエンド側から調整するタイプに変更。
  • ピックアップ
    3シングルコイル・ピックアップ。リアピックアップには「Fender X-1」を搭載。「X-1」は高出力のピックアップで、パワーのあるサウンドが特徴。
  • セレクター
    5ウェイセレクターに加え、ロータリースイッチを搭載。ロータリーでピックアップのシリーズ接続(直列)とパラレル接続(並列)の切り替えが可能。ロータリースイッチのパターンは4つで、5ウェイセレクターと合わせると、9つのピックアップ・スイッチングのパターンがある。

    【ロータリースイッチの組み合わせ】
    ネックとミドルのピックアップをシリーズ接続(直列)
    ミドルとブリッジのピックアップをシリーズ接続(直列)
    ネックとブリッジのピックアップをパラレル接続(並列)
    ネックとブリッジのピックアップをパラレル接続(並列)に、ミドルのピックアップをシリーズ接続(直列)に

1980年製The STRATの試奏動画

THE STRAT-TELE HYBRID

2018年、フェンダーはPARALLEL UNIVERSE(パラレル・ユニバース)シリーズの第一弾として「THE STRAT-TELE HYBRID」を発表した。パラレル・ユニバースは、もしも並行宇宙(別の宇宙)があったという設定で作られる遊び心のあるギターシリーズ。

THE STRAT-TELE HYBRIDは、ストラトキャスターとテレキャスターを融合したモデル。基本スペックはストラトキャスターで、ボディシェイプはテレキャスターというユニークなデザインのギター。並行宇宙が存在したら、THE STRAT-TELE HYBRIDがスタンダードなモデルになっていたかもしれない…

THE STRATの名を冠しているが、本記事で紹介したThe STRATがモデルになっているわけではない

ABOUT ME
執筆者:稲垣 健太(ケンタトニック)
ギター辞典コード辞典ボイトレ・音楽用語辞典の運営者。

音楽関係の仕事の経験、ギター製作の経験、音楽教室に通った実体験をもとに、音楽に役立つ情報を発信。

■音楽歴
中学2年生の時にギターを始める
高校1年生の時にドラムを始める
大学で軽音楽部に所属し、ボーカル、ギター、ベース、ドラムを演奏
39歳からボイトレに通い始める
42歳でギタークラフトを始める
└2023年4月にギタークラフトの専門学校・ESPギタークラフトアカデミー大阪校(GCA)に入学
└ギター製作やリペアの専門技術・専門知識を習得中

■音楽関連の仕事歴
[2006〜2009年]
大手CD・レコード販売店でロック、ジャズの仕入・販売を担当。
[2011年〜]
フリーランスのWebライター・Webディレクターとして開業。
大手音楽教室からの委託でボイトレサイトの運営、ボイトレ記事の執筆・編集に携わる。

■音楽教室の通い歴
[1995〜2000年まで]
某大手ギター教室に通う
[1997〜2002年まで]
某大手ドラム教室に通う
[2020年〜現在]
某大手音楽教室のボイトレ・話し方コースに通い中
ESPギタークラフトアカデミーにて月3回プロギタリストによる演奏授業を受講

■愛機
Stilblu #036 / #039 /#099
g'7 special(g7-TLT Type 2S)
Nashguitars S-57
Tom Anderson(Drop Top Classic -Deep Tobacco Fade)
TMG Gatton Thinline
Fender Custom Shop 1956 Stratocaster NOS
Gibson USA Exclusive Model / Les Paul Standard 60s Honey Lemon Burst

所有ギター一覧

■製作したギター
ギタークラフトアカデミー第1作目:
ポリゴンライン
ギタークラフトアカデミー第2作目:
Stand-Alone
ギタークラフトアカデミー第3作目:
Thin-Marauder


■好きなバンド
U2、Sigur Ros、THE 1975、Mr.Children、the band apart、くるり、SIAM SHADE、VAN HALEN

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