ギター用語

アンティグア・フィニッシュ − 製造中のミスから生まれたFenderカラー

アンティグア・フィニッシュとは

アンティグア・フィニッシュ(Antigua Finish)は、クリーム色から灰色へとグラデーションしていくグレーのサンバースト・カラー。ボディだけでなく、ピックガードにも同様の塗装が施されているのが特徴的。1970年代頃に採用されていたカラーリングだが、短い期間で少ない生産数だったためレアカラーとなっている。

アンティグア・フィニッシュの歴史

アンティグアフィニッシュは、製造途中のミスから偶然生まれたカラーだった。

  • 1967年
    1967年、Fenderが販売していたフルアコ・モデルの『Coronado(コロナド)Ⅱ』の製造中、ボディのバインディング部分を誤って黒く焼いてしまうというミスが発生。これを隠すために生まれたのがアンティグア・フィニッシュだったと言われている。

    ボディだけでなく、ヘッドストックも同様に焼き、さらにピックガードにもペイントを施すことで全体を統一し、コロナドの専用カラーとして発売。その際、基本仕様はコロナドのままカラーリングだけをアンティグアとした『Antigua Ⅱ』『Antigua Ⅻ』というモデル名で売り出した。

    エッジの黒から、内側のマスタードイエローへとバーストする配色となっている。

    Modern Playerシリーズ Fender Coronadoo
    Fender Coronado(フェンダー・コロナド)Fender Coronadoとは Fender Coronado(フェンダー・コロナド)は、Fender社が1966〜1972年まで...
  • 1970年代後期
    コロナドの専用カラーだったアンティグア・フィニッシュだが、1977年にスタンダード・フィニッシュに加えられ、ほぼすべてのフェンダーギター・ベースモデルでアンティグア・フィニッシュのものが製造されるようになる。ただし、1980年代初頭にはもう見られなくなるなど期間は短く、生産数も多くはなかった。

    エッジ部分はコロナドⅡのような黒ではなく灰色になり、ピックガードには同様の塗装がされているが、ヘッドストックがマッチングヘッドにはなっていないものも多い。

  • 2000年代
    70年代当時はあまり人気が出ずに製造されなくなったアンティグアだが、生産数が少なかったこともありレアカラーとして一部のコアなファンの間で人気となる。そんなこともあってか、2000年代に入るとMade in JapanやMexico、Squierからアンティグア・フィニッシュのモデルが限定版等でリリースされている。当初のような黒いエッジからマスタードイエローへのバーストではなく、灰色からクリーム色へのバーストとなっている。

    MIJのストラトキャスター

    同じくMIJのマスタング

    SquierのVintage Modified Baritone Jazzmaster

アンティグアの由来

「アンティグア」というフィニッシュ名については、結論から言えば由来は不明

発端となった「Coronado(コロナド)」は、カリフォルニア州にある同名のリゾート地である「コロナド島」が由来だと考えられる(理由は不明)ため、同様にこのアンティグアもカリブ海に浮かぶ「アンティグア島」、あるいは中米の国グアテマラにある「アンティグア・グアテマラ」という都市名のどちらかが由来ではないかと推測される。

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執筆者:タケ
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ギター歴23年。

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