ギター用語

SSHとは ‐ シングル、シングル、ハムバッカーのピックアップ配列

SSH

SSHとは

SSHは、ピックアップの配列を表す言葉。フロント側から見た「Single(シングル)」、「Single(シングル)」、「Humbucker(ハムバッカー)」の頭文字をとって「SSH」。「シンシンハム」と言われる場合も。
SSH

かつて、ストラトキャスターには3つのシングルコイルピックアップが搭載されているのが普通で、テレキャスターやレスポールにしても、シングルコイルならシングルコイル、ハムバッカーならハムバッカーで、一つのギターには同一タイプのピックアップを搭載するのが当たり前だった。

1980年代に登場したのがナイト・レンジャーのギタリスト、ブラッド・ギルス。彼はFenderのストラトキャスターを、リアがハムバッカーのSSH配列へと自ら改造。これがバンドのブレイクと共に多くのギタリストの間で広まっていったことが、SSHの流行のきっかけと言われている。

ナイト・レンジャーのブラッド・ギルス

ブラッド・ギルスが一時期契約していたFERNANDESから、ブラッド・ギルス・モデルが発売されていた。

また、正式なアーティストモデルとはされていなかったが、Fender Japanからブラッド・ギルスを彷彿とさせるモデルが発売されていた。

Fenderでは『HSS』

一般的にはフロント側から見た「SSH」と呼ばれているが、Fenderではこれを「HSS」と呼んでいる。カタログなどの写真ではヘッドが右側になることが多く、その場合にはリアが左側になるためと思われる。

SSHの特徴、メリット・デメリット

SSHのメリット

SSH配列のストラトが通常の3シングルのストラトと比べて優れているのは、なんと言ってもハムバッカーのパワフルなサウンド。ハムバッカーは深く歪ませたディストーション・サウンドと相性が良く、太い低音はハードロックやメタルといったジャンルに最適。

ソロなどのリードギターはもちろん、パワーコードを用いたズッシリとしたバッキングはリアのハムバッカーを、アルペジオなどクリーンなバッキングや繊細なサウンドが欲しい時にはフロントやセンターのシングルコイルを、といった具合に切り替えて使うことで、幅広いサウンドを1本のギターで実現できる。

ストラトの良いところを残しつつ、ハムバッカーのパワーを兼ね備えたギターは「スーパーストラト」と呼ばれ、多くのギターメーカーから発売された。

ディンキーJS1X
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SSHのデメリット

良いとこ取りをした理想のギターようなSSHのストラトだが、世の中のギターが全てそうはならないということは、やはり欠点もある。

当然ながらハムバッカーにはシングルコイルの音は出せないため、通常のストラトのシングルコイルのリアピックアップのサウンドは真似ができないコイルタップを搭載したハムバッカーならシングルコイルのサウンドを出すこともできるが、本当のシングルコイルと同じかというと、やはり違いがある。

また、シングルコイルとハムバッカーでは音量に差があるという欠点も抱えている。

パワフルなハムバッカーは音量が大きく、シングルコイルは小さくなりがちなので、切り替えて演奏する際に急に音量が変化してしまい、バランスを取るのが難しい。ペダルやエフェクター、ノブの操作などで音量を調整する必要がある。

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執筆者:タケ
ギター辞典コード辞典ボイトレ・音楽用語辞典の運営者。

ギター歴23年。

愛機:Gibson Les Paul Custom、Black Cloud Aging Label #022、Stilblu #100、Legator Ninja N7FX

日々、ギターのお勉強中。