ギター用語

ファンフレットとは ‐ 扇状に配置されたギターのフレットのこと

ファンフレットとは

「ファンフレット」あるいは「ファンドフレット」は、一般的なギターのフレットが全て並行に並んでいるのに対し、扇(ファン=fan)状に配置されたフレットのこと。各弦ごとに弦長が異なることから、「マルチスケール」とも呼ばれる。

※マルチスケール…「multi(マルチ)=複数の」+「scale(スケール)=弦長」という意味

ファンフレットは、アメリカのギターメーカーNovax GuitarsのRalph Novak氏が発明したもので、1989年に特許を取得している。特許期間は20年となっており、その期間が終了した2009年以降、他のメーカーでもファンフレットギターが作られ始めた。

まだ各社が試行錯誤している段階であり、一口に「ファンフレット」と言っても、メーカーそれぞれで仕様も異なっている。0フレットを基準に扇型に角度が開いていくタイプもあれば、中央部分を基準に開くタイプもある。また、弦長もメーカーやモデルによって違いがある。

ファンフレットの特徴

ファンフレットの最大の特徴は、弦によって弦長が異なるという点。一般的なギターの場合低音弦側はテンションが低くなってしまうため、ドロップチューニングや7弦ギターや5弦ベースなどで低音になるにつれ音にも張りが無くなってしまう。

弦の張りを保つにはネックを長くし、弦長を長くすれば良いが、そうなると逆に高音が弾きづらくなってしまう。

ファンフレットでは高音弦側から低音弦側へといくにつれて弦長を長くすることで、テンションを保つことができる。これにより、全ての弦で均一に張りのある響きを得ることができる。

ファンフレットのメリット・デメリット

  • 全ての弦で均一な響きを得られる。
  • ダウンチューニングや多弦ギターでも低音弦の張りを保てる。
  • 人体の構造に合っていて、慣れれば弾きやすい。
  • 独特なルックス。(好みによる)
  • 慣れるまでは違和感がある。逆に慣れてしまうと通常のギターに戻った時に違和感があるかも。
  • 通常とは異なる製造工程となるため、高額になりがち。
  • ファンフレットの経験がないとリペア・メンテナンスをしてもらえない可能性も。
  • 弦長が長くなるとギター自体が大きくなり、重量も増える。(ヘッドレスタイプならその分軽くなる)

ファンフレットのギターを発売しているメーカー

テクニカル系のプレーヤーに好まれており、そういったメーカーから出ているものが多い。主に7弦ギターなど、多弦ギターが多く見られる。

Ibanez

Ibanezの7弦ギター「RGMS7」

Ormsby Guitars

オーストラリアのOrmsby(オームスビー)。こちらは6弦のファンフレット。

Jackson

Strandberg

スウェーデンのストランドバーグ、ヘッドレスで7弦でファンフレット。

Legator

同じくヘッドレス7弦ファンフレット。こちらはLegator(レガター)

Strictly 7 Guitars

S7GことStrictly 7 Guitarsの7弦テレキャスタイプ「ViperT」

LTD(ESP)

ESPの海外向けブランドLTDの「M-1007 MULTI-SCALE」

SAITO GUITARS

2014年に立ち上がったブランド『SAITO GUITARS』

ファンフレットのアコースティックギター

北アイルランドのギターブランド・LOWDEN GUITARSのファンフレット・アコースティックギター

ファンフレットベース

ファンフレットはギターだけでなく、ベースにも採用されている。

Ibanezのファンフレットベース「SRFF805」と「SRFF806」の試奏動画

ABOUT ME
執筆者:タケ
ギター辞典コード辞典ボイトレ・音楽用語辞典の運営者。

ギター歴23年。

愛機:Gibson Les Paul Custom、Black Cloud Aging Label #022、Stilblu #100、Legator Ninja N7FX

日々、ギターのお勉強中。